新茶シーズンまで、一ヶ月を切りました。当店を含めた静岡の茶産地では、新茶に向けての準備が進んでいます。でも、ここ数年は新茶への期待感があまり高まらないようになってきています。その一番の原因は、お茶価格の低下です。お茶の農家にとりまして売り上げは、耕地面積とお茶単価で決まってしまいます。耕地面積は増やすことが出来ませんので、売り上げを伸ばすには、茶価をあげることしかありません。でも、ここ数年の茶価の低下は、お茶農家の生産意欲まで低下させてしまいました。農家の生産意欲の低下が、お茶の品質を落とし始めていることも最近は問題になっています。
また、数年前までは新茶なら何でも売れた時代もありましたが、今では新茶というだけでは売れる時代は過ぎてしまいました。今まで新茶は、茶業界のお祭りという感覚がありましたが、今はそんな甘いことはありません。一年間まじめにお茶を造り、売ってきた結果が新茶という区切りに表れるようになってきました。新茶は、お茶の始まりではなく、今までどれだけ良いお茶を提供してきた結果が出る時期だと思います。新茶が売れないと茶業界では問題になっていますが、それは新茶だけの問題ではなく、一年間いかにおいしいお茶を提供してきたかの結果だということを理解することから始めませんと、問題は解決しないと思っています。
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